性を取り巻く社会的分断や男女平等の必要性が徐々に認知されるようになってきているとはいえ、このテーマは現代において根深い問題を提起しています。日本でもこれに起因する貧困や教育の不足、またその世代間連鎖が社会の機能不全を生んでいるにもかかわらず、その実態が十分に把握されているとは到底言えない状況にあります。社会が進歩していくために、人間の性をどのように認識することがふさわしいのか、共に考えてみませんか?
バハイ共同体は、バハオラの提唱した教えの一つとして、男女平等、そしてそのための女性の地位向上を人類発展の必須要件に位置づけています。この教えによると、男性と女性は鳥の両翼にたとえることができます。左右の翼が同じように健全であってこそ、鳥は高く、安定して飛ぶことができるのです。社会生活と家庭生活のどちらにおいても、女性と男性が対等なパートナーとして、公正さと和合のもとに協力しなければ、私たちに潜在する力が十分に発揮されることはありません。この視点に立てば、男女平等の原理が社会の支柱として受け入れられ、女性も男性と同じように尊重され、権利を持ち、活躍する場を与えられ、不当に扱われることのない社会をつくることが、私たちの発展のために必要であることは明らかです。そのためには、個人レベルと学校や職場、地域社会という集合レベルの両面において、意識改革と実践的な努力を重ねることが重要です。つまり、一人ひとりがあらゆる偏見を自分の心から除去すべく努めることと、社会を構成する私たちが結集して一体性を実現するための活動と教育を生活に取り入れることが大きな鍵となるのです。こうした試みを持続させることで、徐々に社会の分断を修復し、多様性の中の和合を確立し、文明を発展させることができると、バハイは考えます。
このような取り組みは主に地域レベルでなされていますが、グローバルな対話という形にも表れています。例えば、世界のバハイを代表するNGOであるバハイ国際共同体(Bahá’í International Community)は、国連創設間もない時期から、関連する市民団体や世界各国の政府と協力して、男女の平等を確保するための取り組みを行ってきました。日本バハイ共同体の女性デスクでも、この目標を実現していくために、さまざまなグループの人々と意見を交換し、意義ある対話を促進していきたいと考えています。具体的には、次のような課題について対話を深め、実現可能な解決策を探ることを目指します。
・敬意と思いやりを持った家族関係・パートナー関係づくり
・女性や子どもに対する暴力の根絶
・女性の安全の確保
・女性・子供の貧困問題の解消
・女性の人権保障と差別撤廃
・性別を含むあらゆる偏見の根絶
・男性の協力を得て進める男女平等への取組みと、健全なコミュニティの構築
・職場や社会生活における女性の参加と地位向上
・男女平等の原理を基礎とした子育てと教育
・女性の相互扶助を目的としたネットワークづくり
一方、男性への理解と精神的支援にも世界的に関心が高まっています。男らしさを強要する社会通念に縛られ、様々な依存症に苦しんだり、鬱屈感情の発露が他人や自分への暴力として表出するケースも多く生じています。呪縛化したともいえるこの通念から男性が解放され、本来の繊細さ、思慮深さや柔和さが育まれ、尊厳ある人間として新たな社会づくりに女性とともに貢献できるよう支援することも学んでいます。
性の平等の精神をテーマにした映像(バハイ国際共同体制作:英語)